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住まいのコラム

離婚したら債務返済、共有不動産の処理、不動産の売却はどうなる?

2020年08月08日

さいたま市南区、緑区、浦和区での土地探しから、居住後のアフターケア・リフォームまでワンストップのくさの工務店です。

 

離婚しても不動産などの財産が共有名義になっていることが多くあります。また、夫婦共有名義の自宅に住宅ローンが残っている場合も多くあります。共有不動産やローン残債の金融の問題の処理は、離婚とは別に処理していかなければなりません。これらの問題は複雑で厄介でもあり、特に、離婚に関わる債務返済、共有不動産の処理、不動産の売却について説明します。

 

1.離婚と債務返済

 

離婚を考えているけれどなかなか踏み切れない、という人の悩みの一つに夫婦が抱えている借金があります。夫婦に借金がある場合、離婚した後に返済の負担が来ると思うと不安です。しかし、実のところ、夫婦の借金は離婚した後でも、名義人でなければ返済義務が生じることがありません。離婚する際の夫婦の債務の返済について説明します。

 

(1) 離婚する時の夫婦の債務は名義人が返済する。

 

借金を抱える夫婦が離婚をする場合、法的には債務の返済義務は名義人に生じます。名義人でない夫婦の一方が債務を肩代わりすることや、債務の一部を負担することはありません。

 

(2) 財産分与

 

夫婦が離婚する際、有している財産を分け合うために財産分与を行いますが、仮に債務しか残らなかった場合、名義人が名義人でない夫婦の一方に財産分与を請求して、債務を負担させることは基本的に認められていません。

 

ただし、離婚する時に夫婦の債務は、共有財産と特有財産に分けられますが、財産分与のときに混同されてしまうと、他の方の受け取れる金額が減ってしまうことがあるので確認が必要です。

 

{1} 共有財産

共有財産は、婚姻中に夫婦が共同で形成した財産のことをいいます。共有財産には主に下記のものがあります。

 

不動産(マイホームや投資用のマンションなど)、車(自家用車)、預貯金、家具・家電、退職金、保険料(生命保険など)、債務(生活のために借りたお金)などです。

 

共有財産に含まれる債務は、生活費が不足した際に借りたお金だけでなく、マイホームやマンションなどの不動産や車を購入するために借りたローンの残債も含まれます。また、子供の教育ローンの残債も共有財産です。

 

共有財産は財産分与の対象になっているため、離婚の際に夫婦で分け合います。共有財産が財産分与の対象になっているのは、婚姻費用の分担として民法760条で下記のように定められているからです。

【民法760条】

夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。(日常の家事に関する債務の連帯責任)

つまり、婚姻中の共有財産は、夫婦が共同生活をする上で互いに必要なものなので、財産だけでなく購入するための債務も、名義人に関係なく離婚するときには分け合う必要があるのです。

 

{2} 特有財産

特有財産は、財産分与の対象外になっている財産になり、民法762条によって下記のように定められています。

【民法第762条】

夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。

 

つまり、結婚前から有していた債務は、婚姻中の共同生活に関係ないので財産分与の対象外になります。また、婚姻中であっても自分都合の債務は特有財産になるため、ギャンブルや趣味などでつくった借金は、財産分与に含まれません。

 

(3) 財産分与で受け取れる金額

 

{1} 財産分与の割合は基本的に折半

共有財産を財産分与する場合、不動産や車など価値のある財産から債務を差し引き、残った金額を夫婦で分け合います。財産分与の割合は基本的に折半です。

 

たとえば、離婚する夫婦の共有財産が、2,000万円の価値がある不動産と夫名義の住宅ローン1,000万円だった場合、夫婦がそれぞれ受け取る金額は下記のようになります。

 

2,000万円(不動産)-1,000万円(住宅ローン)=1,000万円

1,000万円÷2人(夫婦で折半)=500万円(1人あたりの受取額)

 

ただし、マイホームなどの不動産は、離婚後も夫婦のどちらか一方が住み続けることがあり、売却や譲渡するのが難しいことがあります。そのため、財産分与では、住み続ける方が相手に毎月一定の金額を支払うなどの条件を決めておくことが大切です。

 

{2} 財産分与では特有財産と共有財産を混同させない。

財産分与の際、特有財産を共有財産と混同されると、受け取れる金額が少なくなります。婚姻中に相手がギャンブルでつくった借金などです。共有財産に含まれないと主張することが必要です。

 

(4) 離婚成立後に相手が借金の支払いができなくなった時の対策

 

離婚が成立し、財産分与が終わったあとに相手の経済状況が悪化するなどの原因で借金の返済が困難になった場合、借金の返済義務が生じてしまう場合があります。

 

{1} 連帯保証人になっていると返済義務が生じる。

夫婦の一方が特有財産に含まれる借金の名義人であり、もう一方が借金の連帯保証人になっている場合、離婚後に名義人が返済トラブルを起こすと、特有財産に含まれる借金であっても、連帯保証人に返済義務が生じます。離婚をして夫婦関係を解消しても、連帯保証人から外れる処理が行われていないからです。連帯保証人から外れたい場合は、

・本人に新しい連帯保証人を見つけさせて差し替えを行う。

・連帯保証人の差替えを銀行へ相談する。

・住宅ローンの借入を別の銀行へ組替え、借り換えた際に連帯保証人を換える。

・不動産売却して抜本的に住宅ローン返済にあてる。

などの対策が必要です。

 

(2)相手が死亡した時は子供が借金の法定相続人になる。

離婚後に相手が借金を残したまま死亡した場合、子供に借金の相続が行くおそれがあります。夫婦関係は離婚することで解消されますが、子供は血縁関係があるため、法的な親子関係は解消されないからです。そのため、子供は借金も含めた法定相続人になります。ただし、借金が多い場合は家庭裁判所で相続放棄をすることで借金を返済する義務を回避できます。

 

2.離婚する時の、共有不動産の処理・順序について

 

(1) 共有不動産と持ち分

 

共有とは、1つのものを複数の人が共同で所有することです。1人1人の共有者を「共有持分権者」といいます。夫婦で不動産を共有する場合には、1つの不動産を夫婦が共同で所有します。共有持分権者にはそれぞれの「持分割合」が認められます。

 

共有持分権者の名前や持分割合は不動産登記簿の「不動産の全部事項証明書」に書いてあります。

 

不動産を共有していると、それぞれの共有持分権者が自由に不動産を活用できません。

不動産を賃貸に出したり増改築・建て替えをしたり売却したりするには、他の共有者の同意が必要です。リフォーム工事程度でも同様です。

 

(2) 離婚しても共有状態が解消されない。

 

離婚しても不動産の所有関係には影響しないので、婚姻時に共有だった不動産は離婚後もそのままになります。

共有状態を解消したければ「財産分与」や「共有物分割請求」によって不動産を分ける手続きをしなければなりません。

 

(3) 共有不動産を財産分与する方法

 

離婚時に自宅の共有状態を解消する方法では財産分与があります。

財産分与とは、夫婦の共有財産を離婚時に清算することです。

共有不動産もきちんと「財産分与」をして夫婦どちらかの名義にするか売却しておけば、離婚後にトラブルになる心配はありません。

 

{1} 財産分与の割合

前述したように財産分与の際は、基本的に夫婦が「2分の1ずつ」に財産を分け合います。

夫婦共有名義の不動産がある場合、共有持分割合は2分の1ずつではなく夫が8割、妻が2割などとなっているかもしれません。そういったケースでも、財産分与のときには2分の1ずつに分け合います。たとえば不動産を売却して現金で分けるなら、たとえ夫婦の持分割合が異なってもお互いに半額ずつ受け取ります。

 

{2} 共有不動産を財産分与する3つの方法

共有不動産を財産分与するときには、以下の3つの方法から選択します。

 

  1. 全部夫名義にする。

1つは、全部夫名義にする方法です。妻名義の持分を夫名義に移し、夫が妻へと清算金(代償金)を支払います。清算金の金額は、不動産の価値の2分の1に相当する金額です。

 

  1. 全部妻名義にする。

2つは、全部妻名義にする方法です。この場合も同じように妻が夫へ清算金を支払います。清算金の金額は同様に、不動産の価値の2分の1に相当する金額です。

 

  1. 売却して半額ずつに分ける。

3つ目は不動産を売却して分ける方法です。売却代金から経費を引いた金額を夫婦で2分の1ずつ分けます。

 

(4) 住宅ローンがある場合の財産分与方法

 

自宅を購入する際には住宅ローンを組むケースがほとんどです。離婚時にも住宅ローンが残っていて夫婦共有になっていたらどうするかですが、住宅ローン残債がある場合にも、基本的には財産分与によって家を分けます。

ただし「アンダーローン」か「オーバーローン」かで、対処方法が大きく変わってきます。

 

{1} アンダーローンの場合

アンダーローンとは、不動産の価値が住宅の残ローン額を上回っている状態です。つまり、家を売ればローンを完済できます。

残ローンを返済後、残った財産を財産分与の対象として計算します。

 

{2} オーバーローンの場合

オーバーローンとは、不動産の価値が残ローン額を下回っている状態です。家を売ってもローンを完済できず、ローン返済が残ってしまいます。

この場合、自宅は財産分与の対象になりません。価値がマイナスになってしまうからです。

 

・オーバーローンの場合の対処方法

オーバーローンの場合、自宅は財産分与の対象にはなりませんが、共有名義をそのまま放置しておくと離婚後にいろいろな問題が発生します。そこで金銭的な清算はしないとしても、共有状態を解消しておくべきです。以下のような方法があります。

 

  1. 住宅ローンの名義人が家を取得する。

1つは、住宅ローンの名義人が家を全部取得する方法です。共有になっている家の名義を住宅ローン債務者の単独名義にします。

たとえば夫名義で住宅ローンを組んでいる家が夫婦の共有名義になっている場合、妻が夫に持分を譲り、離婚後は夫が住宅ローンを全額支払っていきます。オーバーローンなので、夫は妻に清算金を支払いません。

 

  1. 住宅ローンの名義人でない側が家を取得する。

住宅ローンの名義人でない側が家を取得する方法もあります。ただしその場合、住宅ローン名義も変更しなければなりません。金融機関との契約上必要です。

 

住宅ローン名義を変更するには、金融機関と交渉して住宅ローンの名義人を変更してもらいます。また、他の金融機関で住宅ローンの借り換えをして現在の住宅ローンを完済する方法もあります。

 

  1. 家を任意売却する。

3つ目は家を任意売却する方法です。任意売却とは、金融機関の承諾を得てオーバーローン物件を市場で売却することです。銀行が許可を出せばローン返済途中でオーバーローン状態でも売却が可能です。銀行との協議をして、離婚などをきっかけにこのままでは住宅ローンを返済できないと判断され、許諾を得られた場合に、任意売却の手続きに進むことができます。

任意売却すれば、物件自体がなくなるので、夫婦の共有状態が解消されてローンも大部分を返済できます。残ったローンは支払う必要がありますが、ローン負担額も軽減されます。

 

通常の不動産売却では仲介手数料や登記費用などの諸費用を自己資金で支払いますが、任意売却では、諸費用を自己資金で用意できなくても、売却代金から支払う事ができます。

 

3.離婚後の不動産売却

 

(1) 離婚と不動産売却の時期

 

{1} 原則は家の売却よりも離婚が先

 

離婚と不動産の売却ではどちらを先にした方がよいかですが、結論として、特別な事情がなければ離婚が先(もしくは同時)です。ポイントは婚姻中に財産を分けることでかかる贈与税です。

通常、資産をどちらかに与えると贈与税がかかります。

しかし離婚後の財産分与では、贈与税が課せられません。夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受けたものと考えられるためです。

 

{2} 不動産が共有名義の場合はどちらでもいい。

 

不動産を夫婦二人で50%ずつ所有しているなら不動産を先に売却することもできます。仮にこの不動産を売却しても、夫婦の持分に応じて現金を半分ずつわけることができるので初めから財産分与している状態です。これは贈与に該当せず贈与税もかかりません。

 

{3} 家が売れたら離婚

不動産会社の仲介による家の売却には時間がかかります。物件査定から売買契約までに半年程度かかることもあるため、離婚のタイミングとの調整は難しいでしょう。一方で、財産分与での夫婦の取り分を明確にするために「家が売れたら離婚する」という方がいます。離婚をしてしまうと夫婦間で連絡が取りにくくなってしまうこともあるため、「家が売れたら離婚する」というのは、状況によっては売却と離婚のタイミング調整として、一つの選択肢となるでしょう。

 

{4} 離婚前に家を売る際のポイント

離婚前に財産を分けてしまうと、夫婦間であっても贈与税や不動産取得税が課せられることがあります。

 

{5} 離婚調停中の不動産売却

離婚調停中の不動産は、夫婦がお互いに納得していれば、家の売却ができます。

売却できない時は、次のような場合です。

・夫婦どちらかが居住しており、売却を拒否している

・共有名義となっていてどちらかが反対している

これらの場合は夫婦間での調停が必要です。

 

まとめ

 

・離婚と債務返済では、離婚するときの夫婦の借金は名義人が返済します。

・夫婦が離婚する際、有している財産を分け合うために財産分与を行いますが、仮に借金しか残らなかった場合、名義人が名義人でない夫婦の一方に財産分与を請求して、借金を負担させることは基本的に認められていません。

・財産分与の基本的な対象は共有財産で、特有財産は、財産分与の対象外になっています。

・共有不動産を財産分与する割合では、基本的に夫婦が「2分の1ずつ」に財産を分け合います。

・共有名義の不動産で、住宅ローン残債がある場合の財産分与方法では、アンダーローンの場合は不動産を売ればローンを完済できますが、オーバーローンの場合は不動産を売ってもローンを完済できず対応策が必要です。

・離婚と不動産売却の時期では、原則は家の売却よりも離婚が先がプラスです。贈与税がかからないためです。

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