住まいのコラム
クレーン・ショベルカーなしで家は建てられるか!?現場レポート<中古戸建て編>
2017年05月26日
こんにちは。くさの工務店です。
今回は東京都某所、築20年超、都心の中古戸建を見てきました。
そこで私が気になった箇所の写真とコメントをまとめてみました。
今回の物件は、築後経過年数の割には、劣化状態がかなり進行していました。
建物自体がやや傾いており、それに伴い、外壁にひび割れが多数みられます。
傾きはジャッキアップして水平にし、外壁のひび割れは補修して塗り直すなどすれば、直すこともできるでしょう」。
その他、前面道路は建築基準法上の道路ではあるものの、階段なので車を使うことができません。
いろいろと不安要素はあるわけですが、今回の物件に関して言えば、それらを考慮しても立地はとても良かったのです。
しかし、この物件の建物、交通利便性だけの話しで言えばこのような感想なのですが、物件を見る時には、周囲の状況等含め、もう少し想像力を働かせる必要があります。
≪注目した箇所一覧≫
※建物の劣化事象は沢山あったので省略。
①古い擁壁
今回の物件は高台にあり、隣地の建物よりも高い位置にある為、2階の眺望はとても良いものでした。
でも高台にある場合につきものなのが擁壁です。まず全体像は冒頭の配置図をご覧ください。
(※配置図の右側が低地で、左側が高台側です。右側隣地との間に擁壁があります)
擁壁の様子はこのような感じ。
建物が密集している地域なので全体を映すことができませんでしたが、写真中央に縦に走っている石積みの部分が擁壁です。
約2mくらいの高さでした。
距離があってよく見えませんでしたが、擁壁が少し膨らんでいるようにも見えます。もしかすると、建物の傾きの一因になっている可能性もありますね。
それと、古い擁壁の場合は、将来建替える時に問題が生じることがあります。
自治体によっても判断が異なるようですが、検査済証を得ていない擁壁がある敷地で新築する場合には、擁壁も築造し直さなければいけなかったり、
擁壁に負担がかからないよう、杭基礎等の仕様にしなければいけないこともあります。
簡単に言えば、余分なお金がかかるということです。
中古戸建てを検討する場合には、常に「将来建替える時に問題になりそうなことはないか?」を気にしなければなりません。
中古戸建をリフォームして、ご自身で一生住むつもりだとしても、人生何が起きるか分かりません。
転勤、病気・事故による収入減、ご両親の看病、離婚など、やむを得ず住み替えなければいけないこともありえます。
その時に、次の買い手が建替えを前提として検討する可能性は高いです。
そこで余計な建築コストがかかるとすれば、当然売買価格の値下げ要求につながり、資産価値が下がる結果につながります。
② 建機の侵入経路が無い!
もう一度、冒頭の配置図をご覧下さい。
図面では分かりづらいですが、家の横はかなり急な階段が続いています。
「駅にも近いし、自分は車を使わないから問題ない」と判断するのはもちろんありですが、交通利便以外に支障がでることがあります。
例えば、リフォームをする時に、解体部分の搬出、資材の搬入等が必要です。
この物件で言えば、外壁を塗り直す必要がありますから、足場を組むことになるでしょう。
小さくても良いのでトラックが敷地までは入れれば問題ありませんが、近くまで来られない場合には、人が手運びするしかありません。
できないことではないのですが、時間が余計にかかる為、当然コストは増えます。
リフォームの場合はまだしも、建替えをしようと思った場合はどうなるでしょうか?
トラック以外にもクレーンやショベルカーも使いたいところです。
これらも全て人力に頼るとすれば、コストはどんどんかさみます。
ちなみに想像ですが、今回の物件は新築時には、配置図左側の隣地含め周辺の家をまとめて建築した為、新築時点では隣地の敷地を通過して
建機が今回の物件の敷地まで侵入することができたものと思われます。
その後、隣地に建物ができ、現在は侵入経路がないという状況でしょう。
くさの工務店では、内見の際にも一般的な不動産屋さん以上の情報をお客様にご提供致します!
信頼できるプロを見つけることができれば、同じ内見をしても検討の深度が全く異なります。
是非くさの工務店にご相談ください。
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