住まいのコラム
マンションの建て替え費用はいくら掛かる?!
2023年05月11日
さいたま市での不動産の売却・購入から居住後のアフターケア・リフォームまでワンストップのくさの工務店です。
不動産購入時に、駅前の立地を検討される方は非常に多くいます。
しかし、そのようなエリアには既にマンションやビル等が立ち並んでおり、なかなか希望の物件を見つける事は難しいです。また、気に入る立地を見つけたとしても、古い旧耐震マンションとなり、地震大国日本で長く住み続けるには不安が伴うのも事実です。
そこで旧耐震マンションを購入した場合、その後のマンション住人との建て替えの合意形成が上手くいった場合、どれくらいの建て替え費用が掛かるかを解説したいと思います。
■そもそもマンションの建て替えは少ないのが現状です!
築年数が経ちマンションの老朽化が進むと話題に上がるのが、「建て替え」の問題です。
しかし、実際にマンションの建て替えをおこなっているケースは少ないのが現状です。国土交通省がマンションの建て替えに関して行った調査によると、建て替え実施中と工事完了済を合わせても300棟ほどという結果となっています。この300棟ほどのマンションの中には、老朽化して建て替えが必要なマンションではなく、再開発などにより比較的新しいマンションの建て替えも含まれているようです。その為、本当に建て替えが必要なマンションに限定して考えると、300棟よりももっと少ないと判断できます。
このように、マンションの建て替えが進んでいないのには、以下の3つの理由があります。
1.)住民の反対が多い、2.)建て替え費用の負担が大きい、3.)法律上建て替えられないマンションが多い
そもそも国は老朽化するマンションの増加を受け、建て替え促進などのために要件緩和の法改正を検討しています。しかし、緩和の恩恵を受けるはずの所有者には別の課題がのしかかります。その理由の1番が上記の「2.)建て替え費用の負担が大きい」という事です。所有者の負担額は過去約20年で5倍以上に膨らんでいるという発表もあります。人口減のなか、建て替えだけではない老朽化対策が求められているのも事実です。
■建て替え費用の負担が大きい!費用はどれくらいか?!
建て替えたマンションの区分所有者が負担した平均額を年代別に整理した調査では、1996年までに建て替えた場合は1人あたり344万円でした。しかし、2017~21年は1941万円に跳ね上がり、約20年で約5倍の上昇となった事が判ります。勿論、人件費の上昇、資材の高騰などの理由が挙げられます。
■地震国日本において、老朽化マンションが多いという事は?!
国は建て替えに必要な賛成割合を、現在の所有者全体の5分の4以上から、4分の3かそれ以下へ緩和するなどの法改正を検討しています。しかし、マンションの建て替えは高額な費用がかかることから、住民から反対されてしまうケースが多いです。
従来、マンション建て替えは、それまでより建物を大きくするのが一般的でした。拡大した分を新たな所有者に売却して、そのお金を工事費に充て、既存の所有者の負担を抑えるというものです。最近はこの新規拡大分が縮小傾向となり、利用できる容積率が限られるマンションが増え、駅から遠いなど不便な立地では拡大しても新規の販売が期待しにくい例が多くなっています。つまり、駅近の利便の良い場所では、そもそも容積率等ギリギリで建てられるマンションも多い為、そもそも建物を大きくする余力がありません。
国は容積率緩和の特例適用を広げるなどの対策も進めているが、特定エリア以外はその対策の恩恵を受ける事が厳しいのが現実です。
建設業界の人手不足に資材高騰なども重なり、工事の費用は上昇傾向となっており、相当数の新規販売を確保し、かつ高額で売らないと採算が合いにくくなっています。
東京都中央区で年内にも建て替え決議を予定している築40年超のマンションの所有者は都心の好立地で戸数も現状に比べ1.5倍になるが、それでも既存の所有者には1戸あたり1000万円超の負担がかかるようです。10年以上前から議論し、大手不動産会社の協力も取り付けて新規の販売計画も練ったが、高騰するコストを吸収し、所有者の大半が満足できる建て替えの実現には相応の負担が必要となります。
■マンションの建て替え費用の内訳
マンションの建て替え費用を住民が自己負担する場合、費用の目安は1,000万円〜2,000万円ほどです。自己負担額には、以下の内容が含まれます。
1.)解体費用、2.)建設費用、3.)専門家の調査費用、4.)設計費用、5.)事務経費、6.)仮住まい費用
解体費用の目安は一坪あたり5〜8万円ほどで、建築費用は、鉄筋コンクリート造の場合で一坪あたり100万円ほどが目安と言われるようです。マンションの規模やグレード、建築面積、階数、周辺環境などによって金額は異なります。どれだけ金額が低くても1,000万円ほどは建て替え費用として準備する必要がある為、そのような資金の準備が出来ない住人が多いマンションの場合は建て替えの合意形成が進まないのも現実です。
■マンションの建て替えは立地の良いエリアのみ?!
東京カンテイという不動産鑑定で有名な企業調査によると、2022年6月までに建て替えたマンションの63.1%が東京都に集中し、その大半を23区での建て替えだったようです。都区部など立地がよいマンションは拡大分に安定した需要があるうえ、既存の所有者も高所得で一定額の負担が可能な例が多かったのが建て替えに繋がった要因のようです。逆にそれだけの条件がそろわなければ、建て替えは難しいとの事でした。
■マンションの老朽化問題は避けては通れない問題!
マンションは私有財産ですが、老朽化して建て替えも修繕もされずに「スラム化」すると防犯や防災の面で周辺地域にも影響を与えます。また、築40年以上のマンションは今後10年ほどで約250万戸とほぼ倍増する見込みであり、老朽化マンションの規制の緩和と強化の両面の対策が急がれます。いずれにせよ、老朽化した中古マンションを購入する際には、必ずその建物の修繕や建て替え問題も意識していただく必要があります。
今後の参考にお役立て下さい。
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