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住まいのコラム

不動産売買における「契約」はどの時点で成立するのか?

2019年07月09日

さいたま市南区、緑区、浦和区での土地探しから、居住後のアフターケア・リフォームまでワンストップのくさの工務店です。

 

 

民法では、売買契約は当事者の口頭による合意だけで成立するとされており、必ずしも書面(契約書)の作成は必要ではありません(民法555条)。

賃貸借契約も同様です。

実際に、宅建業者が関与せずに個人同士の建物賃貸借契約や借地契約、駐車場賃貸借契約などでは契約書がないまま物件が引き渡されて家賃や地代も支払われているということもあり得ますが、契約書がなくても賃貸借契約は成立していると考えられます。

しかし、宅地建物の売買契約の場合においては、売買契約書の作成が予定されているのが通常です。ある土地について、売主側と買手側が「3,000万円で売ります」「3,000万円で買います」ということで一致したとしても、土地や建物の売買契約の場合には、代金以外にも協議しなければならない(例えば、古い家屋がある場合にそれを解体してから引き渡すのか)、ローンを利用する場合は、ローン条項をどうするか、売主は瑕疵担保責任をどこまで追うことにするのか、といったことです。

こういった点については、契約書案を作成する過程で協議を重ねて条件を詰めながらそれを契約書にまとめていく作業をするのが一般的です。いくら代金を3,000万円でするという大枠で合意していたとしても、それ以外の条件で折り合いがつかなければ、契約が成立したと考えるわけにはいきません。当事者としても、売買契約書を取り交わすことを予定している場合は、契約書に署名・捺印したときに契約が成立すると考えていることが多いでしょう。

宅建業者が関与する宅地建物の売買契約や、宅建業者が賃貸借契約の代理・媒介をする場合には、宅建業法第37条の書面交付の義務があり、通常、契約書に宅地建物取引士が記名・押印をすることによりこれに変える運用がなされていることから、結局のところ、宅地建物の売買契約や宅建業者が賃貸借契約の代理・媒介をする場合には契約書の作成が予定されているともいえます。

したがって、宅建業者が関与する宅地建物の売買契約の場合には、契約書を作成して当事者が署名・押印した時点で契約が成立する(したがって、契約書を取り交わす前はまだ契約は成立していない)と考えるのが、実態に合っているというべきでしょう。
※宅建業者が仲介する宅地建物の賃貸借契約においても同様です。

 

≪参考≫
宅建業者の書面の交付義務(宅建業法第37条)
宅建業法第37条では、宅建業者に対して、契約が成立した時は取引の相手方又は各当事者に対して、遅滞なく、所定の事項を記載した書面(いわゆる37条書面)を交付することを義務付けていますが、通常、売買契約書を交付することで、37条書面の交付に変えています。37条書面は、必ず宅地建物取引士が記名・押印しなければなりません。賃貸借契約の媒介の場合にも37条の書面交付義務があります。

 

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