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住まいのコラム

住宅関連ニュースも鵜呑みにしてはいけません

2018年07月16日

こんにちは、くさの工務店の橋本です。

情報があふれかえる状況で、その内容を鵜呑みにしてはいけない、というのは「言われなくてもわかってるよ!」ということなのでしょう。ただ、あまりに量が多いので一つ一つ精査している時間も余裕もなく、漠然と情報を入れてしまうと、意図せずイメージを植え付けられてしまう、ということが怖いな、と思った記事を紹介します。

まず一つ目。
現代ビジネス
ついに始まった!「高級マンション」投げ売りから暴落の悲劇
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55675

だいたいこの手の記事は、文章のはじめか終わりに結論が表記されます。紙面ならなおさら文字を無駄に消費できません。

この記事はこんな文章から始まります。

”都心の高級物件は即完売。転売されてもすぐに買い手がつく。それが常識だった。だが、潮目が変わった。億ションが売れ残っている。そうなると、価格を下げるしかない。不動産崩壊の序曲が聞こえる。”

そして、この文章で終わります。

”現在の不動産価格は明らかに高すぎる。これから始まる大暴落の予兆はすでに見えた。東京五輪まであと802日。将来的に自宅マンションの売却を考えている人は、今すぐ動くべきだ。”

さて、この記事を読んでみなさんはどのような感想を持つでしょうか。

確かにここ数年東京のマンション事情は少しおかしいです。(新築分譲価格よりも高く売れるという事例もあります)
価格が上がることを前提にするなら記事の通りなのですが、ここ数年がイレギュラーだとすると、祭りが終わって普通に戻る、というのが割と一般的な感覚ではないでしょうか。
お客様の雰囲気を見ても、将来の値上がりを期待してマンションを買おうではなく、将来的な値下がりをなるべく抑えたい、と考える方が多いように思えます。
つまり不動産は新築から下がることが前提になっています。
ですから、少なくとも2013年レベルに「落ちる」という表現よりは、2013年レベルに「戻る」と言った方がしっくりきます。
この記事を読んで、東京のマンションはやばいんじゃないかという感想を持った方は、少し昨今の東京のマンション市場について調べた方が良いかもしれません。
特に文中にある「あなたのマンションもタダ同然になるかもしれない」という表現が目に留まった方は多くの情報を求めた方が良いと思います。
※マンションがタダ同然になるのは、新築マンション価格が落ちるからではありません。

少しひねくれた私の見解を記載したいと思います。
非常にあまのじゃくで申し訳ないのですが、マスメディアにはそれで商売をしたい、利益を得たいという思惑がつきものです。
そもそも東京の不動産市場がミニバブルで、東京オリンピック需要には終わりがあって、という話は今に始まったことではありません。
記事の内容も具体的な事例はあるものの、決して目新しい「ニュース」とは言えません。
それではこの記事は何のためにあるのでしょうか。なぜこの時期なのでしょうか。
マンションの売却を促進したい思惑があって、それがこの記事の本当の理由だとしたら?
ただ何となく記事を読むと、「東京のマンションは売れるうちに売った方がいい」ってイメージが植え付けられていませんか?
住宅関係のニュースはこういう誘導を意図しているのではないかと疑いたくなる記事が多いですね。

一つだけだと単なる批判になるので、もう一つ記事を紹介します。
こっちの記事の方が結論が露骨で良い事例だと思います。

ダイヤモンドオンライン
老後の住宅難民が東京で100万人超!?未婚化が招く衝撃シナリオ
https://diamond.jp/articles/-/171806

生涯未婚率が上昇し、単身者は家を買う理由が乏しいから家を買わない人が増える。ところが高齢者は賃貸に住もうにも断られるケースがあるため、老後の住宅難民が出ますよ、という内容です。

生涯未婚率とか持ち家率とか%付の数字が並ぶと何となく信ぴょう性が増しますよね。
ですが、肝心の「単身者は家を買う理由が乏しい」が説明されていません。

それでいてこの記事の結論は「単身者であっても買えるうちに家を買いなさい」。
典型的な住宅業界発の文章と言えるでしょう。

持ち家には持ち家のメリットがあります。
ですが、賃貸には賃貸のメリットがあります。(双方デメリットもあります)
確かに高齢者になったときのことを考えると賃貸は選びにくくなるかもしれません。
ですが、東京で100万人もの人が住宅に困る状況を東京都が(政府が)放置するとは到底思えません。
※地方の話ではありません。東京の話です。まるで日本では高齢者になると住むところがなくなるみたいな印象を受けます。
文中にもありますが「住宅セーフティーネット制度」など具体的な取り組みも始まっています。
異常な状況を極論にして、今の常識を植え付けるのは少しフェアーじゃないなと私は感じました。

東京は土地代が高いので、高齢者になって住みにくくなるのはある意味当たり前だと思います。
高齢者になってローンが組みにくいのも当たり前ですね。
だからと言って買えるうちに家を買ってそこに縛られ続けるっていうのは極端すぎます。
選択肢は他にもあります。必ずあります。
だから、老後を憂いて家を買うなんて発想だけはやめていただきたいと思います。

以上、ぼんやり情報を入れると、思いもよらぬイメージを植え付けられかねない、という少しひねくれた内容でした。

ただ、どんな記事でも読んだ分だけ得られるものがあります。
両方の記事で印象を受けるのは、これから先の時代はこれまでの延長ではないんだ、ということです。
人が減り家が余り極端な少子高齢化社会となります。
家が足りなかった時代の常識が通用するとは思えません。

なので、今まで通りの常識を語る人のことは鵜呑みにしてはいけないですよ、というのが私の意見です。
※どちらの記事も切り口を変えればもっと良い記事になったのに!と思うのは私だけではないはずです。

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