住まいのコラム
水災害に強い街づくり―主体的な避難の推進―
2021年06月27日
さいたま市南区、緑区、浦和区での土地探しから、居住後のアフターケア・リフォームまでワンストップのくさの工務店です。
気候変動による降雨量増加や海面水位上昇等により、水災害は頻発・激甚化しています。都市部でも浸水が発生する可能性があり、政府は水災害に強い街づくりを推進しています。前回お伝えしました「水災害に強い街づくりー都市再生特別措置法の改正―」では、都市再生特別措置法の改正を通し、危険地域の新規開発規制や浸水リスクの低い地域への集団移転等の土地利用の規制を実施していることについて紹介しました。
しかし、このような都市計画の効果が発現するまでには一定の期間を要します。そこで今回は、水災害対策と街づくりに関する国土交通省の取組みの中でも、特に短期間で取組みが可能な「ソフト対策」にフォーカスを当てて紹介します。
水災害リスクを踏まえた街づくり
時間軸を意識した対策が必要という認識のもと、国土交通省は昨年8月、水災害対策と街づくりの連携のあり方についての提言を発表しました。提言では、街づくりに活用できる水災害ハザード情報を充実させ、それらの情報をもとに実施した地域のリスク分析・評価の結果を踏まえて街づくりの方向性を検討し、防災・減災対策を講じることが重要であるとの考え方が示されました。
防災・減災対策としては、河川整備、下水道整備、避難場所設置、避難路整備、排水ポンプ整備等の「ハード対策」や「土地利用・建築対策」に加えて、リスク情報の提示、地域ごとの避難行動計画の策定等の「ソフト対策」が挙げられています。ハード対策や土地利用・建築対策の実現には一定の期間を要するため、短期的に取り組むことが可能なソフト対策もあわせて、効果の大きさや対策に要する期間等を総合的に勘案し、優先順位をつけて計画的に実施する必要があります。
主体的な避難を推進する対策
国土交通省は、2015年に策定した「水防災意識社会再構築ビジョン」に基づいて、住民自らがリスクを察知し主体的に避難できるよう、より実効性のある住民目線のソフト対策を推進しています。具体的には、①住民などの行動につながるリスク情報の周知、②事前の行動計画作成、訓練の促進、③避難行動のきっかけとなる情報をリアルタイムで提供することです。
① 住民などの行動につながるリスク情報の周知
リスク情報の周知として、早期の立ち退き避難が必要な家屋倒壊等氾濫想定区域等が公表され、ハザードマップが改良されました。改良されたハザードマップは、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」等で確認することができます。
② 事前の行動計画作成、訓練の促進
事前の行動計画策定として、防災関係機関が取るべき防災行動を時系列で整理した「水害対応タイムライン」の策定が推進されました。このタイムラインは、国管理河川の氾濫で浸水が想定される全ての市町村(730市町村)において策定が完了しています。
③ 避難行動のきっかけとなる情報をリアルタイムで提供
避難のきっかけとなる情報の提供として、洪水予報のプッシュ型配信や、身近な雨の状況、川の水位と危険性、川の予報等のリアルタイム配信が行われています。これらの情報は国土交通省の「川の防災情報」ウェブサイトで確認することができます。
このようなソフト面での対策強化を受けて企業や個人に求められることは、水災害についての情報を自ら積極的に収集し、リスクを正しく理解し、主体的な行動をとることでしょう。国土交通省が発表している避難に役立つ情報等を活用し、豪雨や台風による浸水に備えることが大切です。
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