住まいのコラム
借金対策!住宅ローンが払えなくなったらどうするか?
2020年08月09日
さいたま市南区、緑区、浦和区での土地探しから、居住後のアフターケア・リフォームまでワンストップのくさの工務店です。
住宅ローンを払えない人はどのくらいいるかですが、フラット35を扱っている住宅金融支援機構では、貸しているお金のうち貸付先が破綻したり3ヶ月以上延滞したりしたのは、2018年度中は全体の1.56%にあたる3,666億円、そうなる前に返済猶予など貸付条件の変更をしたケースまで含めると8,206億円(全体の3.49%)にのぼるとしています。
現在コロナウィルスのために企業が経営危機に陥り希望退職者募集も激増していると言います。人生には予期しない出来事が起こるものです。多額の借金の代表である住宅ローンの返済が厳しくなった時の対策を紹介します。
1.住宅ローンが払えなくなった時の流れなど
(1) 住宅ローンが払えなくなった時の流れ
住宅ローンが払えず滞納してしまった場合の流れを見て行きます。
・滞納して1ヶ月目は電話や郵便で金融機関からローン滞納の通知が伝えられます。
・滞納して2~3ヶ月目には督促状や催告状といった返済の要求を強く求める書類や電話がきます。
・さらに滞納し、約3ヶ月目で個人信用情報へ事故記録が掲載され、新しくクレジットカードを作ることやローンを組むことが困難になります。
・6ヶ月経過するとローンを分割で返済する事が不可能となり、10~11ヶ月目で競売を申し立てられる場合もあります。
競売とは法的に家が差し押さえられた状態で、入札により買主が決定した所で立ち退きを要求されます。
(2) 住宅ローンを滞納しそうな場合の家計の見直し
まず、住宅ローンを滞納する前にできるだけ早く家計の見直しを行う必要があります。
家計の見直しには第1に経費節減があります。生命保険の見直しと掛け捨て型への変更、電気・ガス会社の変更等、固定費をできるだけ減らすことが大切です。スマホ経費もかかっているため格安スマホに変更するなどもあります。子供のお稽古事も減らすべきです。
第2には、収入対策です。専業主婦(夫)の場合は共働きとすること、また、副業を行うことなどです。
2.住宅ローンの返済が苦しくなったらどうするか?
住宅ローンの返済が苦しくなった場合の対策としては、主に下記の5つの方法が存在します。
(1) 現在の金融機関に相談してリスケジュールする。
リスケジュールとは、融資・ローンにおいて返済が困難となった場合に金融機関に借り入れ条件の変更を行うことです。現在ローンを組んでいる金融機関に相談します。
一時的な返済額の減額や返済期間を延長して貰うことで債務者(ローンの契約者)の負担を減らせる可能性があります。1年程度金利部分のみを支払い、元本の返済を猶予してもらう措置や、返済期間をローン返済の最長期間35年まで伸ばす等の方法があります。
・具体的な条件変更の救済措置例
倒産などで収入がダウンし、住宅ローンの支払いが困難になった場合が対象となります。
目安としては、一定の収入基準に該当して、条件変更をすることで支払いを継続できる人が対象となります。
返済期間の延長(最長15年)+ 元金据え置き期間の設定(最長3年)などです。
返済期間の延長に加えて、一定の期間支払いをする際に元金の支払いが免除され、利息のみの支払いとなります。
ただし金融機関からの信用は落ちてしまい、新しい融資を受けづらい事態に陥ってしまうケースがあります。
(2) 別の金融機関のローンへ借り換える。
借り換えとは、現在の不動産ローンを別の金融機関の融資によって返済し、新たなローン契約を締結することです。
借り換えによって現在より金利が低くなった場合、毎月の返済額や総返済額が少なくなる可能性があります。返済期間を35年より短く設定している場合、長期固定金利に切り替えることも検討できます。
ただし、一般的に、住宅ローンを借り換え、総返済額を圧縮するには金融機関によって異なりますが、下記の3つの条件すべてか少なくとも2つ以上をクリアしている必要があると言われます。
{1} 現在組んでいる住宅ローンと借り換え後の住宅ローンとの金利差が1.0%程度
{2} 住宅ローンの残債が1,000万円以上
{3} 住宅ローンの残りの返済期間が10年以上
さらに、住宅ローンの借り換えには事務手数料や保証料、印紙代、登記費用といった諸費用がかかります。ちなみに諸費用は、借入れ金額や返済期間、借入先の金融機関によって異なりますが、30万円~80万円程度かかる場合が多くあります。
また、借り換えが出来る場合でも想定通りに金利を下げることができず、融資年数が限られてしまう可能性があります。再びローンの返済が苦しいという事態に陥らないかのために、借り換え後の返済をシミュレーションしておく必要があります。再度、返済状況が滞ってしまった場合には審査が厳しくなります。
ローンの返済期間が短縮可能で住宅ローン控除を受けている場合は、返済期間によっては住宅ローン控除の対象から外れてしまうケースがあります。引き続き住宅ローン控除を受けられるかの確認が必要です。
(3) 不動産の売却、または任意売却を行う。
住宅を手放す覚悟ができた方は売却・任意売却でローンを一括返済します。売却を行う上で注意すべき点は売却代金でローンの一括返済ができるかがポイントになります。複数の不動産会社に見積もりを依頼し、売却代金の相場を知っておきます。
{1} 「アンダーローン物件」の場合
査定の結果、売却代金でローンを一括返済できる「アンダーローン物件」の場合は、不動産会社に仲介を依頼し、購入希望者が見つかった際に交渉を行い引き渡す流れで売却が可能です。
{2} 「オーバーローン物件」の場合
ローン残債の方が多く家を売却した代金でローンを一括返済できない「オーバーローン物件」の場合は、差額を現金で支払うか、任意売却という方法で売却をする必要があります。
任意売却は、売却するにあたり金融機関の許可が必要な方式です。住宅ローンには持ち主がローンを返済できなくなった際に家を担保にする抵当権が金融機関によって設定されています。ローンの返済が出来なくなった場合、金融機関は抵当権を行使することで家を競売にかける事も可能となります。任意売却では金融機関から抵当権の解除の許可を条件に不動産売却を行います。
オーバーローンで売却を希望する際はまず金融機関へ相談し、任意売却の条件について確認することが大切です。
(4) リースバックで現在の家に住み続ける。
リースバックとは、ローンが返済できなくなった家を金融専門業者に売却し、買主である業者から売却した家を賃貸物件として借り、家賃を支払うことで今までの家に住み続けられる仕組みのことです。
利用できるかどうかは、リースバック会社の基準によります。アンダーローンであることや賃貸需要の見込める物件であるなどの一定の条件が必要とされる場合もあります。
なによりも現在の家に住み続けることができるメリットがあります。
(5) 個人再生を利用する。
住宅ローン以外の債務(車のローンやキャッシング等)の返済にも問題があるケースでは「個人再生」で債務の返済総額を減額し、残りを原則3年間に分割で支払うという方法があります。
・減額された借金をおおむね3年かけて支払う。
個人再生は、裁判所に再生計画の認可決定を受け、借金を大幅に減額してもらう手続きです。自己破産は裁判所から免責決定をされると、借金の支払義務がなくなりますが、個人再生では、減額された借金をおおむね3年かけて支払うことで、残りの借金については、支払義務がなくなります。
・借金は5分の1に減額される。
個人再生の場合、借金は5分の1に減額されますので、借金を3年分割で支払うために返済も楽になります。
・自宅を残せる場合も
自己破産の場合は、一定の価値がある所有財産は処分の対象になってしまいますが、個人再生の場合は、生命保険や車などの資産を持ったまま手続が出来ることも特徴の一つです。さらに、住宅ローンが残っている自宅については、住宅資金特別条項(いわゆる「住宅ローン特例」)を利用できれば、住宅ローンはそのまま返済を継続することで、自宅を処分する必要はありません。
なお、住宅ローン特例が認められるための要件では、下記のような条件が必要とされます。
{1} 本人が所有している(共有可)。
{2} 建物の床面積の2分の1以上が居住用である。
{3} 現在、本人が居住している。
この他にも住宅ローン特例には他にもさまざまな条件や注意点があります。
個人再生に向いている方の特徴としては、任意整理では支払えないような多額の借金を抱えている場合や、持ち家等、処分したくない財産がある場合です。
また、自己破産を行なえない職業(保険外交員、警備員等)に就いている方などは、個人再生を選択する場合もあります。
なお、個人再生は個人信用情報や官報に掲載されてしまい、手続きが煩雑であるというデメリットがあるため、慎重に検討する必要があります。
まとめ
・住宅ローンの返済が苦しくなった場合の対策としては、主に下記の5つの方法が存在します。
(1) 現在の金融機関に相談してリスケジュール
リスケジュールとは、融資・ローンにおいて返済が困難となった場合に金融機関に借り入れ条件の変更を行うことです。1年程度金利部分のみを支払い、元本の返済を猶予してもらう措置や、返済期間をローン返済の最長期間35年まで伸ばす等の方法があります。
(2) 別の金融機関のローンへ借り換える。
借り換えによって現在より金利が低くなった場合、毎月の返済額や総返済額が少なくなる可能性があります。
(3) 不動産の売却、または任意売却を行う。
注意すべき点は売却代金でローンの一括返済ができるかがポイントになります。残債の方が大きいオーバーローン物件の場合には課題が残ります。
(4) リースバックで現在の家に住み続ける。
リースバックとは、ローンが返済できなくなった家を専門業者に売却し、買主である業者から売却した家を賃貸物件として借り、家賃を支払う事で今までの家に住み続けられる仕組みのことです。家賃の金額が払えるかどうかなどの検討が必要です。
(5) 個人再生を利用する。
個人再生は、裁判所に再生計画の認可決定を受け、借金を大幅に減額してもらう手続きです。
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