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住宅ローン控除・消費税について

住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、ローンの一部に相当する金額が所得税や住民税から控除される住宅ローン減税制度があります。税負担が少しでも軽くなることで、住宅購入を後押ししようという背景があります。2019年10月からの消費税増税をきっかけに、政府は住宅ローン減税の控除期間の延長や、「すまい給付金」の拡大など手厚い景気対策を採っています。その内容を知って、住宅購入の際に参考にしましょう。

住宅ローン減税制度とは?

住宅ローン減税制度は、正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。住宅ローン控除といわれる場合もあります。住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、一定の期間、住宅ローンの年末残高の一定割合に相当する金額を、毎年支払う税金(所得税や住民税)から控除してくれるというものです。

消費税増税を機に、住宅ローン減税はどこが変わる?

住宅ローン減税が3年延長(2020年12月末まで) 消費税増税前の住宅ローン減税では、住宅の新築や増改築などをした場合、年末の住宅ローン残高の1%、最大で年間40万円(認定住宅等は50万円)の減税が10年間受けられます。

2019年10月以降、消費税率10%が適用される売買では、減税期間が3年間延長されます。11年目以降は、住宅ローン残高の1%か、建物購入価格(一般住宅4,000万円、認定住宅などは5,000万円まで)の2%を3年で割った額の低い額が税額控除されます。

たとえば、建物の価格が4,500万円の住宅を購入した場合、2%の消費税増税分は90万円。これを3等分した30万円と、その時点の住宅ローン残高の1%を比べて、少ない方が税額控除されます。

注意すべきは、「3年間の延長」は居住開始が2020年12月31日までに入居した場合に限られる点です。また、適用される消費税率が8%の場合や、中古住宅(売主が個人の場合)で消費税がかからない場合は、控除期間は10年間のままである点も頭に置きましょう。なお、2021年1月1日以降は、元の住宅ローン減税制度に戻ります。

住宅ローン減税

居住開始 適用される消費税率 種類 年末残高限度額 控除期間 控除率
1~10年目 11~13年目
2014年1月1日
~2019年9月30日
8%・10% 一般住宅 4,000万円 10年間 1% -
認定住宅など 5,000万円
上記以外 一般住宅 2,000万円
認定住宅など 3,000万円
2019年10月1日
~2020年12月31日
10% 一般住宅 4,000万円 13年間 1% 「年末残高×1%」か「建物価格×2%÷3年」の低い方
認定住宅など 5,000万円
8% 一般住宅 4,000万円 10年間 -
認定住宅など 5,000万円
上記以外 一般住宅 2,000万円
認定住宅など 3,000万円
2021年1月1日
~12月31日
8%・10% 一般住宅 4,000万円 10年間 1% -
認定住宅など 5,000万円
上記以外 一般住宅 2,000万円
認定住宅など 3,000万円

※ 控除しきれない分は住民税から控除【所得税の課税所得の7%(上限136,500円)まで】
(国税資料・国交省資料を参照し編集部作成)

「すまい給付金」が拡充(2021年12月末まで)

すまい給付金とは、所得が一定以下だと住宅ローン減税の恩恵を十分に受けられない人もいることから、それを補うために設けられた仕組みです。控除しきれない分の一部が現金給付されますが、給付は1回のみです。このすまい給付金が、2019年10月の消費税増税後に拡充されます。

これまでは「年収510万円以下」の人が対象で、給付金も「最大30万円」でしたが、2019年10月の消費税増税後には、「年収775万円以下」の人が対象となり、給付金も「最大50万円」となります。ただし、住宅ローン減税同様、個人の売主から中古住宅を購入した場合は、そもそも消費税の対象外であることから、すまい給付金も対象外です。

住宅ローンを利用することが原則ですが、50歳以上で一定要件を満たす人であれば現金で購入し、住宅ローンを利用しない場合でもすまい給付金の対象になります。

なお、すまい給付金は2021年12月31日までの居住開始が対象とされています。

すまい給付金(2021年12月31日までに居住開始)

適用される消費税率8%
収入額の目安 給付基礎額
425万円以下 30万円
~475万円以下 20万円
~510万円以下 10万円
適用される消費税率10%
収入額の目安 給付基礎額
450万円以下 50万円
~525万円以下 40万円
~600万円以下 30万円
~675万円以下 20万円
~775万円以下 10万円

(国交省「すまい給付金」パンフレットを参照し筆者作成)
すまい給付金サイト

「次世代住宅ポイント制度」で最大35万円のポイント

2019年10月の消費税増税後には、「次世代住宅ポイント制度」も導入されます。これは、良質な住宅を増やすための施策の1つです。消費税率10%の適用でエコ住宅や耐震住宅など一定性能を備えた住宅の取得やリフォームをした人に対して、商品などと交換できるポイントが付与されます。

ポイントは1戸あたり新築で最大35万ポイント、リフォームで最大30万ポイントです。30万ポイントであれば30万円分の商品など(「環境」、「安全・安心」、「健康長寿・高齢者対応」、「子育て支援、働き方改革」に関するもの)と交換できます。

ポイント発行のための申請はすでに2019年6月3日に始まっており、遅くとも2020年3月31日までですが、予算がなくなり次第締め切られる可能性があります。また、商品交換期間は2019年10月1日~2020年6月30日まで。

次世代住宅ポイント制度

対象 ポイント上限
新築 所定のエコ住宅、長持ち住宅、耐震住宅、バリアフリー住宅 いずれかの適合で、1戸あたり30万ポイント
性能を引き上げたり、家事負担を軽減する設備(ビルトイン食洗機など)を設置したり、耐震性のない住宅を建て替えた場合はポイント加算 性能を引き上げたり、家事負担を軽減する設備(ビルトイン食洗機など)を設置したり、耐震性のない住宅を建て替えた場合はポイント加算 1戸あたり上限35万ポイント
リフォーム(貸家含む) 所定の改修や設備設置に応じてポイント発行。
既存住宅の購入に伴うリフォームの場合、ポイント2倍。
1戸あたり上限30万ポイント

次世代住宅ポイント事務局

住宅取得資金贈与も「3,000万円まで非課税」に拡大

税制改正により、住宅取得資金の贈与についても非課税の限度額が拡大されました。父母や祖父母など直系尊属から、自宅を新築、増改築などするための資金の贈与を受けた場合、要件を満たせば、限度額まで非課税で済みます。2019年3月末までの非課税枠は一般住宅700万円(基準を満たす省エネ等住宅1,200万円)でしたが、2019年4月1日以降2020年3月31日に契約した場合は、2,500万円(同3,000万円)に拡大されました。ただし、2020年4月1日以降は段階的に下がっていくので、利用する予定の場合は、タイミングに注意しましましょう。

ただし、贈与を受ける子や孫は20歳以上、合計所得額2,000万円以下で、贈与を受けた年の翌年3月15日までに自分が住む家であること、床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下など条件があるので、該当するかどうか確認が必要です。

住宅取得資金贈与の拡大

住宅の契約日 省エネ等住宅※ 一般住宅
消費税率10% 8%または非課税 消費税率10% 8%または非課税
2019年4月1日~2020年3月31日 3,000万円 1,200万円 2,500万円 700万円
~2021年3月31日 1,500万円 1,000万円 1,000万円 500万円
~2021年12月31日 1,200万円 800万円 700万円 300万円

(国税庁サイトを参照し筆者作成)
※ 一定の耐震性能、省エネ性能またはバリアフリー性能などを有する住宅

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